スポーツささえびと(Vol.66掲載)

スポーツを支える人にスポットを当てたインタビューコーナーです!

三菱重工相模原ダイナボアーズ 事業担当

安藤栄次さん・成昴徳さん

 

記念すべきインタビューの第1号は、先日「JAPAN RUGBY LEAGUE ONE(リーグワン)」で見事1部昇格を果たした三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下「ダイナボアーズ」)において、子どもたちへのラグビーの“普及活動”や地域密着を掲げるチームの要となる“地域連携活動”を担っている安藤さん成さんです。

 

普段はあまり聴く機会のない普及活動や地域連携活動、今後の展望等について色々とお話を伺いました。

-ラグビーを始めたきっかけを教えてください

(安藤)小学校時代にサッカーをやっていましたが、進学した中学校にはサッカー部がありませんでした。しかし、その学校には珍しくラグビー部があったので、サッカー部を諦め、ラグビー部に入部したのがきっかけです。

 

(成)母校である大阪朝鮮高校が初めて大阪大会の決勝に出場し、兄に誘われ花園ラグビー場に行った際、ラグビーというスポーツに魅力を感じて入部しました!…というのは美談で、実際はあまり観戦には気が進まず、兄に無理矢理服を引っ張られて観戦に連れていかれた記憶があります(笑)

 

-どのような選手時代を過ごしましたか?

(安藤)中学では一回戦負けのチームに所属していたため、勝つことを知らずに高校へ進学しました。そこでも全国大会へは行けませんでした。花園はテレビで見る世界でした。それでも大学や社会人では日本一となり、下から上までを経験することができました。

 

(成)私も常に頂点にいたわけではなく、高校時代は全国大会には出られませんでした。大学で改めてラグビーのすばらしさを学び、全国から集まってきた猛者たちと切磋琢磨した日々を過ごしました。社会人になってからは関西のチームに入部し、2部だったチームを1部に昇格させることができ、30歳の時に縁あってダイナボアーズに入部しました。浮き沈みは激しかったですが、様々な経験をすることができました。

 

-選手時代から引退後のイメージはできていましたか?

(安藤)最初はラグビーに関わる仕事がしたいと思い、年齢を重ねるごとに指導者になりたいという思いが強くなっていきました。ダイナボアーズで放課後ラグビースクールに参加したりすることで、ラグビーを伝える側として生きていきたいと思うようになりましたね。

 

(成)私もラグビーに携わっていきたいという気持ちがあったので、選手時代から積極的に普及活動に参加してきました。手広く色々なことをやっていきたいという気持ちもありました。引退のタイミングもコロコロと心変わりし、いろんな出会いがあって今ここにいます。

 

-どのような経緯でダイナボアーズに加わりましたか?

(安藤)30歳になる前に新しい環境で自分を試したい、新しいチャレンジをしたいと思っていた時に、当時のダイナボアーズの監督から「経験してきたものを若い子に伝えてほしい」とオファーをいただき、ダイナボアーズでやりがいがあると感じたので加入を決めました。

 

(成)30歳の時、当時所属していたチームが若返りにより自身の出場機会が減ってきました。まだまだチャレンジしたいという思いがあり、移籍について考えていた際、一番最初に声を掛けていただいたのがダイナボアーズでした。当時下部リーグだったチームに新しいエナジーを届け、再びトップに戻したいと考え、ダイナボアーズへの移籍を決めました。

ダイナボアーズの第一印象はいかがでしたか?

(安藤)「若いな」という印象でした。年齢もそうですが、ラグビーが成熟していない印象を受けました。トップにいこうという意志や具体的なイメージをもつ子が少なかったですね。若さならではの「一生懸命に取り組む」という姿勢はあったので、自身の経験を彼らに伝えながら一緒にやっていきたいと考えました。

(成)ダイナボアーズの由来である“イノシシ”や“猪突猛進”のごとく、まじめにまっすぐ取り組む印象があったので、さらに違う角度からメスを入れてより良いチームにしていけるのではと思いました。あまり冗談が通じない印象だったので、みんなで食事に行くなどして、少しずつチームの雰囲気を変えていこうとがんばりました!

(安藤)経験してきた中で、強いチームは“オフフィールド(ラグビー以外の時間)”でのコミュニケーションが多い印象があります。それがダイナボアーズには少なかったですね。そんな矢先に率先して動く人(成さん)が来てくれたなと思いました(笑)

相模原の第一印象はいかがでしたか?

(安藤)緑が多いという印象です。キャンプが趣味な私には夢の国ですね(笑)

 

(成)フレンドリーで温かく迎えてくれた街という印象です。個人的にパンが好きなので、いろんなパン屋へのパン巡りが楽しいですね。最近の一押しは「オギノパン」です!オギノパンからの、服部牧場からの、宮ケ瀬ダム!の王道コースを楽しんでいます(笑)

 

お互いの第一印象はいかがでしたか?

(安藤)「やかましいのが来たな!」その一言に尽きます(笑)

 

(成)安藤さんは元々日本代表でもあったので以前から知っており、一緒にプレーできる喜びがありました。実際に話してみるとラグビーに対する情熱もあり、色々な話もしやすかったです。ただし、初対面のときは恐る恐るお会いしたぐらい恐かったですね(笑)

 

(安藤)いや、よそよそしかったのは初日のミーティングだけでしたね(笑) でも一番頼りになる男です!

 

(成)「ウィース」ぐらいの軽い感じで話してましたね!何でも話せる兄貴的な存在ですよ!あまりこういう話をする機会がないのでなんか照れますね(笑)

 

-普及活動や地域連携の主な仕事はなんですか?

(成)その中でも、普及活動では、主に学校と連携して一人でも多くの子どもたちにラグビーの魅力を感じていただけるように活動しています。それがぼくらの使命だと思っています。

(安藤)地域連携では、色々な企業や自治体に出向いています。今では多方面でSDGsを掲げていますので、それぞれに適した持続可能なことができないかを考え、コミュニケーションをとりながら進めていますね。

(成)それらの活動を通して徐々にダイナボアーズの認知度も上がってきました。子どもたちをはじめ、色々な方々から「ダイナボアーズの試合見たよ!」と声をかけてもらえることが多くなりました。同じ相模原市民として注目していただいている感触があります。

(安藤)実は直近2年はチームを離れていたのですが、その間にも成さんが各所を歩き回って開拓してくれていたので、私がチームに戻ってきたときには2年前に比べ、行く先々でダイナボアーズの知名度が上がっていました。これは成さんの成果だと思いますし、成さんはチームにとって欠かせない存在ですね。

(成)何もプレゼントないですよ(笑)

 

-普及活動や地域連携としての苦労はありましたか?

(成)苦労ではないですが、悩ましいことは、学校の授業でラグビーを教える際、中にはスポーツに興味がない子も当然ながらいます。そのような子たちでも興味をもってもらえるよう、遊び感覚のゲームや多様な声掛けをして輪に入れるように心がけています。

 

(安藤)大変なことはありますが、苦労と感じたことはほとんどないですね。初めてのことに壁はつきものですし、全てがいい経験や学びになっています。

 

-普及活動や地域連携としてのやりがいはありますか?

(安藤)子どもたちがトライをして嬉しそうな表情を見せてくれると純粋に嬉しいですね。その経験を経て中学生になった子から「あの時の〇〇です!」と声を掛けられ、ラグビーを続けてくれていると仕事のやりがい、そして一期一会の大切さを感じますね。

 

(成)子どもたちがダイナボアーズの試合情報や選手のプロフィールをぼくに伝えてくれるので、興味をもってくれたんだな~と嬉しく思います。伝えてくれるのは良いんですが、スーパーとか公園で急に声を掛けられると驚いてしまうので、市内を歩く際は気が抜けないんですよ(笑)

 

-普及活動や地域連携を務める上で大切にしていることはありますか?

(成)「感謝の気持ちを忘れない」ということです。色々なご縁があったからこそ達成できたこともあるので、常に感謝の気持ちをもって、自分の仕事を全力でやる!と決めています。現役時代からの座右の銘です。

 

(安藤)私は「HAPPY(ハッピー)」という言葉を大切にしています。相手はもちろんですが、自分自身もハッピーであることが大切です。携わるみんなが常に笑顔で過ごせているかをよく観察しています。チームとしても、地域の方々に夢や希望を与えるというミッションがありますからね。

 

-自身またはチームの今後の目標や展望を教えてください!

(安藤)ラグビーを通じて皆さんにHAPPYを届けること。そして相模原の街中でラグビーの話題とボールで遊ぶ子ども達が増えるよう、ラグビーの魅力を発信していくことです。

 

(成)相模原市や神奈川県を越えて、全国的、果ては世界的にもダイナボアーズのすばらしさを伝えていきたいですね!ぼくは裏方でもあるので、現役選手たちをいかに気持ちよくグラウンドに立たせてあげられるか、最高のテンションで試合をさせてあげられるかということも大切にしたいです。これからも安藤さんと一緒に楽しいことや面白いことを企画し、ラグビー以外での魅力をもっともっと多くの人に伝えていきます!

 

ダイナボアーズのここだけは他のチームにも負けないというところはありますか?

(成)ぱっと浮かんだのは家族のような「深い絆」です。困ったときは互いが互いをサポートするなど、ファミリー的な部分は他のチームに負けないかなと思います。

 

(安藤)チーム名に“相模原”が入っているので、地域密着を心掛け、地域に根差して活動しているのはうちが一番ではないかと思います。“広く浅く”ではなく、相模原にしっかりと根を張り、相模原を拠点として枝を伸ばしていきたいと思います。

 

(成)我々二人のような強い絆でね(笑)

 

-読者の方々にメッセージをお願いします!

(安藤)まず1試合でもいいので、会場に足を運んでいただきたいですね。特に地元ギオンスタジアムでやる試合はお祭りのような雰囲気の中で試合観戦ができます。1人で来ても、ご家族で来ても楽しめるので、ラグビーという名のお祭りを楽しみに来てください!

 

(成)ぼくは色々なイベントなどの第一声で「成が喋ればみんなが笑う」ということをお話します。試合前は我々2人を要チェックです‼ただし、試合はちゃんと選手をチェックしてくださいね(笑)

 

(安藤)我々2人はちゃんとチームを支えているのかな(笑)「ささえびと」のタイトルに相応しいですか(笑)

最後にインタビューを終えて一言ありましたらお願いします!

(安藤)現役時代の苦楽を共に過ごした成さんという仲間と、スタッフとしても一緒に働くことができるのは幸せなことです。成さんのダイナボアーズに対する熱い想いと共鳴して仲良く、盛り上げていきます!

 

(成)このお仕事は誰でもできるものではないので、できることへの感謝の気持ちを忘れずにやっていきます。安藤さんは気兼ねなく、本音で話しあうことができる頼りになる先輩ですので…今後ともよろしくお願いします(笑)


お二人がとても気さくに、そして面白くインタビューに答えていただいたので、終始和やかな雰囲気で色々なことをお聞きすることができました♪

今後のお二人のさらなるご活躍とダイナボアーズのリーグワン1部での躍進を願い、私たち市民も一丸となって応援していきましょう!

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