スポーツささえびと(Vol.70掲載)

スポーツを支える人にスポットを当てたインタビューコーナーです!

今回は、プロサッカーリーグ「Jリーグ」で活躍中の相模原市をホームタウンチームとする『SC相模原』で、トップチーム主務としてチームのサポートに邁進している伊藤喜彦さんにお話を伺いました。

SC相模原

トップチーム主務

伊藤 喜彦さん

-主な仕事

 選手のユニフォームやスパイク等の準備、加工及び修繕をしています。

 選手がグラウンドに到着する前にグラウンドに行き、飲料と氷の準備をするのと同時に練習や試合で使う用具を準備しています。

-やりがい

 もちろんチームが試合に勝ってくれたときですよね(笑)

 チームが勝つために選手や僕たちスタッフがいかに練習や試合をスムーズに行うことができるように準備できるかが僕たちの役目だと思っています。

-印象的な出来事

 過去の話なんですけど、アウェイ戦の会場で選手のユニフォームを準備していたとき、1人分のユニフォームがないことに気づいたんですよ。色々な打開策を考えました。ユニフォームの背番号をマジックで塗り直すとか。結局選手本人がユニフォームを持ってたんですけどね(笑)ユニフォームが見つかって本当に安心しました…(笑)

-苦労

 チーム設立当初ですね。スタッフが僕と望月重良(SC相模原創設者)しかいなかったんですよ。 Jなので数年前までは練習場所の確保、練習試合の相手探し、遠征手配を僕1人でしていた頃もありました。また、数年間は夜に市内の小学校のナイターを借りて練習したり、サッカーボールが10個しかなかったり本当に予算がなくて厳しかった。 Jリーグに上がるまでは本当に苦労しました。

 望月との付き合いは横浜FC時代からで、望月が「相模原でサッカーチーム作るんだけど伊藤さん手伝ってくれる?」て言われたから、「いいよ!」と答えた。当時横浜FC所属だった三浦知良選手に「シゲ(望月重良)のこと頼むぞ!」と言われたもんだからずっと相模原にいるんですけど…。三浦知良選手は僕にそう言ったことを覚えてるかどうかも分からないんですけどね(笑)

 横浜FCとの出会いは、僕の実家がクリーニング屋で横浜FCの事務所が斜め前にあって、そこのマネージャーがよくうちの店にユニフォームを出しに来てくれたことがきっかけなんですよ。僕は今までサッカーをやったことはなかったし興味もなかったんだけど、そのマネージャーから誘われて、横浜FCのクラブハウスで朝から夜まで仕事をしたり、春と夏のキャンプに帯同したりしました。そのマネージャーが僕を横浜FCに引き込むのがうまかったんですよね(笑)

-大切にしていること

「現場スタッフのチームワーク」この一言に尽きます。

 現在、準備等を行う現場スタッフは僕を含めて4人いて、この4人のチームワークが本当に大切です。この中の1人でも違う思いをもってしまうと様々な業務が進まなくなってしまいます。また、チームワークがあれば、忙しいスタッフに対して手の空いているスタッフが自然にサポートに入ることができます。そういったことを経て信頼関係が深まってよりチームワークが高まっていきます。スタッフが少なかったチーム設立当初じゃこんなことできませんでしたね(笑)

-今後の目標や展望

 僕が今まで培ってきた技術や経験を若いスタッフに伝えていきたいです。

ビブスやユニフォームの洗濯は誰でもすぐできるようになるけど、選手からスパイクの加工や修繕を頼まれます。これがどうしても経験がものを言います。サッカーのスパイクはスタッド(靴底の突起部分)が固定式と取替え式があり、最近のスパイクは固定式が多いため、会場によってはプレー中に選手が滑りやすくなります。そういったことがあるため、選手から元々固定式のスパイクを取替え式に加工してほしいと頼まれます。あとはスパイクの紐を結びやすくするために、紐を通す穴を加工してほしいとも頼まれます。これだけ頼まれるから若いスタッフたちにスパイクの加工や修繕のやり方を教えるよって言ってるんですけど作業場に中々来てくれないんですよね(笑)

 あとは芝生の色が用具についたりするんですけどそれを落とすのにコツがいるんですよ。薬剤の濃度と時間が鍵になるんですけど、これも経験しないとできるようにならないんです。1年に1回、Jリーグのマネージャーが集まるマネージャー会があるんですけどそこで、芝生の色の落とし方を教えたりもしています。

-読者の方々へメッセージ

 1人でも多くスタジアムに試合を見に来てほしいです。選手のみんなが良いパフォーマンスを発揮できるように僕たちは仕事を頑張ります。読者の方々も試合の内容を見に来て感動してもらえればいいなと思っています。

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